住宅の平面計画について、注意する点を教えてください。

私たち設計者が住宅設計の依頼を受けた時、どういう点に注意しながら計画を進めるかを説明してみます。
まずは家族、そしてその家族と良く話し合うことから始めます。家族のそれぞれが持っているイメージを話し合いの中から拾い集めてまとめていきます。それと同時に重要なのが敷地。敷地の持つ条件が、そこに建つ住宅のかなりの部分を決めていると言っても良いでしょう。

道路はどちらにあるのか。それにより玄関の位置が決まります。敷地が広ければ平屋ということも考えられます。そして敷地の周りに何があるかということも大変重要です。隣家がどの場所にあるのか、また窓はどの部分か、そしてどこが開けているのか、またそこから何が見えるか。例えば、山が見えればそこに窓を持ってくるとか、隣家の手入れされた樹木があれば、それを借景として利用させていただくのもひとつの方法です。

また、予算にかかる問題として平面の形があります。四角で凹凸がないほうが安いですし、中庭などをつくれば高くなります。間仕切りが多ければ、当然予算的にはかかります。

いずれにしてもそれぞれの家族、敷地、みな違うわけですから、それに適した計画を信頼できる設計者とともに造っていただきたいと思います。

『月刊ぷらざ2000年11月号掲載』回答:羽鳥悟(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)

敷地が狭く、しかも変形しています。家を建てるにはどうしたら良いか教えてください。

狭小、変形地といってもいろいろなケースがあります。間口が狭く奥行きのある敷地、三角形や台形のもの、また高低差のある傾斜地、はては崖地であったりと・・・。
そして敷地には形状だけではなく、方位、気象、道路、周辺の関係が重なります。これらの敷地で計画を進める場合のいくつかのキーワードを説明します。

◇吹き抜け
吹き抜けは上下の空間につながりをつくります。平面的に十分なスペースを取れなくても、立体的な広がりを作ることは可能です。

◇トップライト
狭い敷地では建物の周囲に空き地が取れず、光を採り入れずらくなります。トップライトによる上からの採光は小さくてもかなり明るく、空が見え、開放感が生まれます。吹き抜けと絡めると効果的です。

◇中庭
建物は建坪率により敷地いっぱいに建てることは出来ません。この残った空き地を中庭に利用できます。光や風を採り入れるだけでなく、塀や緑で囲えば、立派な外部の部屋が出来ます。

◇スキップフロア
床のレベルに変化をつけ、階段やスロープで生活空間をゆるやかにつなぎ、のびやかな空間をつくります。傾斜地には合理的な解決方法の1つです。

ほかに屋上の緑地化、地下の利用、高層化などが考えられます。いずれにしろ小さな土地の場合はあまり欲張らず、志向するライフスタイルをしっかりととらえましょう。

『月刊ぷらざ2001年2月号掲載』回答:長井淳一(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)

家を改造しようと思っているのですが、どのようなことに注意したら良いでしょうか?

最近は家族構成が変わったり、設備が古くなったが建て替えるのには少々もったいない、と改造する人が増えてきています。改造は手間が掛かり、新築のように自由に平面計画はできませんが、産業廃棄物を少なくしたり地球温暖化の軽減にも寄与でき、大変良いことと思います。

改造となると必ず柱や壁の撤去を伴うものですが、柱や壁を撤去する時は構造のチェックを十分にしてください。柱を除く時はみなさん注意をしますが、壁は筋違いが入っていたりして横からの力を支える大きな役割をしています(鉄筋コンクリートも同じです)。

近ごろでは家庭内での家電率が高く、電気の容量が少なくて、ブレーカーが度々落ちる話を良く耳にします。特に台所回りは電子レンジ・炊飯器・食洗機等があり、一回路だけでは不足します。必要に応じて回路数を増やしておくことが大切です。
また、家庭でのインターネット利用も増え、電話の差し込み口も一部屋に一カ所は設けたいものです。

古い建具をうまく再利用すれば思い出も残るかと思います。改造は新しくするだけでなく、そこで暮らしてきた思い出も残しておきたいものです。

いずれにしても改造する時は、新築した時の図面を用意してその時の設計士さん、建築会社の方に良く相談して、無理のない改造をしてください。

『月刊ぷらざ2001年6月号掲載』回答:須田睿一(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)

工務店から壁紙のカタログを渡されましたが、どのように選んだらいいのでしょうか?

住まいの新築、模様替え、いずれの場合も部屋の雰囲気は床・壁・天井の配色で大きく変わります。最近はアレルギー対策などで自然素材を内装材料に使うことが増えてきてはいますが、予算の都合などで壁紙(ビニールクロス)貼りの家がまだまだ主流です。そんな家の場合、明るい部屋にということで白っぽい色を選びがちですが、壁紙の色は単に白くしたり、柄ものを使ったりすると、いかにも安物建材の代名詞のようになってしまいます。

こんな場合はむしろかなり濃い目で質感のあるものを選ぶと飽きのこない、落ち着いた、品の良いインテリアが実現します。その際、極力天井と壁は同系色に。濃さも同程度の色調のものを選びます。

意外かもしれませんが、照明も脇役として、むしろあまり存在感のないものを選ぶのがコツです。民芸調とかモダンとか、部屋のインテリアイメージは床・壁・天井の仕上げ方で決めるのではなく、家具やカーテン、額や置物などでその雰囲気を演出すべきでしょう。

工務店や大工さんに設計と工事を依頼した場合などは、色や柄を見本帳などで直接自分で選ぶことになりがちです。その場合は特に要注意です。壁紙の色や柄はどんなイメージに仕上がるか、デザインの専門家でないとなかなか正確に予測できるものではありませんが、設計の専門家に依頼できなかった場合は、こうした選び方のコツが案外役立つことになりそうです。

『月刊ぷらざ2001年8月号掲載』回答:小見山健次(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)

家の新築を考えていますが、雑誌で見たコートハウス(中庭型住宅)とは、どのよ うなものですか?

日本の戸建住宅の多くは、建物を敷地の北側に、庭を南側に配置する形が一般的です。しかし、プライバシーの面から見ると、周囲から庭や部屋の中が見えてしまうために、カーテンやついたてで防がねばならない場合があり、必ずしも快適ではありません。

庭でバーベキューをしたくても、他人の目が気になる?
部屋に大きな窓をつけたが、中が丸見えになってしまい、いつもカーテンが必要。
外からの視線を考えずに計画すると、思わずそんな目に。
また、窓から見る景色の良否も日常の中で大事な要素です。

いつも隣家の汚れた壁を見て暮らすのは寂しいものです。

中庭型住宅とは文字の通り、庭を中に取り込んだ家のことです。他から干渉されずに楽しめる庭・空間を造るという発想の家、塀や植物をうまく使って、庭をより積極的に取り込もうというアイデアの家のことで、「コートハウス」と呼んでいます。

比較的古くからある手法ですが、密集した市街地の敷地だけでなく、広い敷地でも優れた魅力を生み出します。気品のある、気持ちの良い家を造りたいと考えている方は、ぜひご検討されることをおすすめします。

『月刊ぷらざ2001年11月号掲載』回答:神澤宣次(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)

今から住まいを計画しますが、窓から入ってくる太陽の直射日光をうまく利用するにはどうすればよいでしょうか?

太陽は東から昇り、真南に来た時が一番高く、1日中で一番暖かです。このことは季節によって太陽の高さ(太陽高度)が違うため、春暖かく、夏は暑くなります。また、太陽の熱は地球にとどく時、途中の空気を温めず、じかに地面等を温めます。このような太陽の性質を考え、太陽高度つまり日光が地面に当たる角度を夏・冬それ ぞれ調べる必要があります。場所により異なりますが、関東ではおおよそ夏至のころで75度前後、冬至のころで35度前後くらい。詳しくは地面に棒を立て、その棒の長さと影の長さからその角度がわかります。これを使って軒の出を決めます。

まず、設計図の断面図に3つの点を設けます。掃き出し窓の敷居面で任意の場所をA点とし、A点から外側へ地面に平行に線を引き出し任意の点をB点とします。3 点目は計画上の軒先をCとすると、図上に∠BACが表されます。

この角度が夏至のころより大きい角度の場合、直射日光は入ってきますので、計画時から夏・冬の直射 日光を考えた軒の出を検討しておくと、多少でも省エネとなり、太陽の熱をうまく利 用する方法の一つとなります。

『月刊ぷらざ2001年12月号掲載』回答:竹重功二(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)

キッチンには独立型と対面型がありますが、それぞれの特徴を教えてください。

団地(マンション)の発生に伴い、空間の有効利用として、また核家族化での子育ての面から、対面型キッチンが出現したと思われます。

キッチンの型は居間・食堂との関係で決まると考えられます。まず、型の分類は、居間(L)、食堂(D)、キッチン(K)の組み合わせにより、
独立型はL+D+K、 LD+K、
対面型はLDK、L+DKとなります。

人間には、視覚、聴覚、嗅覚、 味覚、触覚の五感があり、住宅(建築)では味覚以外の四感が関係しています。
独立型では視覚、聴覚、嗅覚が守られ、居間・食堂に応接機能を持たせることができますが、孤立感があります。
対面型ではそれらがすべて開放されており、対話の楽しみもあり、居間・食堂とともにファミリースペースの意味合いが強くなります。

また、新しい考え方としては、LDK一体型ではありますが、視覚だけを遮る有効な壁を設ける方法もあります。それぞれの特徴を生かし、長期に渡る生活イメージを作り上げ、住宅の計画をされると良いかと思います。

『月刊ぷらざ2002年2月号掲載』回答:林修司 (JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)

各部屋の考え方について教えてください。

わたしが住宅の計画する場合まずすることは、その敷地に行くことです。そしてその中で一番居心地のよさそうな場所を探します。たとえばそこに立つと遠くの山が良くみえるとか、隣の樹木が良く見えるとか、日当たりが一番良い場所であるとか、夏涼しい風が通りそうとか理由はいろいろです。そしてそこをお気に入りの場所にします。

居間が広くとれるようであれば、ソファーの位置に、あまり広くとれない場合は大きい食卓の椅子の場所で、または茶の間のコタツの座る位置でもいいですがとにかくそのお気に入りの場所を中心と決めます。
そうするとおのずと他の部屋の配置が決まってゆきます。
居間食堂は家の中心です。ファミリールームと言っても良いでしょう。食事をしたり、テレビを見たり、本や新聞を読んだり、小さい子供は宿題をしたりします。ですからできるかぎり広く、家族の皆がそれぞれにくつろげる、居心地のよい部屋にしたいものです。

住宅の各部屋は広いにこしたことはありませんが、予算や敷地の都合で建てられる面積には限りがあります。ならば居間、食堂を目いっぱい広くとり他の寝室や、子供部屋を狭くてもというのもひとつの考え方であると思います。

『月刊ぷらざ2002年6月号掲載』回答: 羽鳥悟(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)

現在築20年の木造2階住宅に住んでいます。子供も大きくなり夫婦2人になったので改装したいのですが、これから年をとることを考えた使いやすい家造りのアドバイスをお願いします。

改修の目的として、

  • 耐久性能のUP
  • 建物の耐震性能の向上
  • 設備機能の高度化に対応
  • 長寿社会対応のバリアフリー
  • 断熱 省エネルギー性能の向上
  • 建物の歴史的表現と保存と再生

以上があげられます。

施工業者の選定が重要課題と思われるのですが、残念なことに近年欠陥リフォームによる苦情が増え続けています。これらは建築を総合的に請け負ったことのない専門工事業者の傾向が多く、その工事内容や技術力に限界や問題が見られます。

例えば、土台や柱の根元にシロアリ被害があっても、また梁や小屋組が腐食劣化していても、その上から塗装してしまう塗装業者やサイディグ屋根葺き業者も多く見られます。これらは建物の寿命を短くするばかりか、地震がきたときに建物が崩壊につながる状態になりかねません。既存建物のリフォーム設計は、すでに存在する建物の長所や短所を総合的に検査し評価する目が重要です。これは総合的な構想力、判断力が必要で、豊富な経験と技術力が必要とされます。新築と同様に経験のある建築家にご相談されることをおすすめします。

『月刊ぷらざ2002年7月号掲載』回答:笹澤智治(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 計画 | | コメント (0)